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RAN1

「RAN」

これを書きたくて、このブログを始めた・・・。
「歴史とは、虹のようなものである」~オーウェン・バーフィールド~
http://blogs.yahoo.co.jp/mozugoe/245740.html

夕焼けの中を、二人歩いていく。
歩道に伸びる二つの長い人影は、時に離れ、時に重なり合い、まるで楽しく語らいあっているかのようだった。だが、校門を出てから、いや、同じタイミングで教室を出てから、ずっと二人は無言のままだった。
駅に近づいたときだった。
家々や背の低いビルの間から、不意に空が大きく開いた。その時、二人のうちの一人、長い黒髪の井上蘭太郎の全身を、赤みがかった初秋の日の光りが輝くように包んだ。
授業中眠っている蘭太郎、美しい着物を身にまとい舞台で踊る蘭太郎、面をつけ、誰よりも激しく相手を打ち付ける蘭太郎、そのどれとも違うもうすぐ16歳の少年の姿がそこにあった。
蘭太郎は足を止めた。うつむき加減に、ほんの少し後ろを歩いていた門馬慎之介も、つられるように歩みを止めた。
前を向いたまま、蘭太郎は門馬に声をかけた。
「きのう、不思議な夢をみたんだ」
「え?」
門馬は、蘭太郎の横顔をまぶしそうに見つめた。
日舞の家元の母と剣道の道場を持つ父の間に生まれ、母の美貌を受け継ぎ、剣の腕も素晴らしく確かな蘭太郎の周りにはいつも人が群がっていて、門馬は遠くそれを眺めていた。こうして学校から駅まで一緒に帰るのは高校に入学し、クラスメイトとして出会って以来、初めてのことだった。
「初めて話をする君に、こんなことを言うのは、ちょっと変かもしれないが」
「気にしないで、何でも言ってくれたまえ」
蘭太郎は微笑んだ。
何だろう、この感じ。名前のせいだけではなく、門馬には、侍の姿が良く似合うと、蘭太郎は思った。それも戦国時代の戦う侍の姿ではなく、平和な江戸時代の書物に囲まれた姿なのだ。それにしても、どうしてあんな夢をみたのだろう・・・。
門馬の顔を、蘭太郎はまっすぐに見つめた。
「鹿児島の、知覧に行ったことはあるかな?」
「・・・いや、無い。特攻平和祈念館のある場所だね。近くに開聞岳のある」
「ああ。富士山に似た、素朴で美しい山だ。君は特攻隊員だった。無駄死にするなと必死に引き止める僕を振り切って、五百年後、千年後の世には必ず蘇える。そう言って君は、たかく、大空に消えていった」
スローモーションのように、夢の中で静かに門馬の口元が語りかけている。だがその声は爆音にかき消され、ほとんど聞こえない・・・。
切なさと苦しさの中で蘭太郎は、泣きながら目を覚ましたのだった。

門馬は驚いていた。昨日、いつものように眠れぬままネットを彷徨い、初めて「神風特別攻撃隊 フィリピン編」
(http://www13.ocn.ne.jp/~autofilm/sinzitu.html)
の動画を見て涙し、眠りについたのだった。
心の中で、門馬は呟いた。
「もう、戦争は続けるべきではない。
しかし敵を追い落とすことができれば、七分三分の講和ができるだろう。
アメリカを本土に迎えた場合、恐ろしい国である。
歴史に見るインディアンやハワイ民族のように、闘魂のある者は次々各個撃破され、日本民族の再興の機会は永久に失われてしまうだろう。
このためにも特攻を行ってでもフィリピンを最後の戦場にしなければならない。しかしこれは、九分九厘成功の見込みはない。では何故見込みのないのに、このような強行をするのか・・・」
そのあとの言葉を、門馬は口に出して呟いていた。
「ここに信じてよいことがある。
いかなる形の講和になろうとも、日本民族が将に滅びんとする時に当たって、身をもってこれを防いだ若者たちがいたという歴史の残る限り、五百年後、千年後の世に、必ずや日本民族は再興するであろう」
「君はそう言っていたのか!」
思わず、蘭太郎はそう尋ねた。
「これは、『神風特別攻撃隊 フィリピン編』の中の言葉だ」
蘭太郎は、不思議そうに門馬の口元を見つめた。
「知らなかったのか? わりと有名なサイトだと思うが」
「僕はパソコンは苦手だ。家に一台あるにはあるが、母のお弟子さんが管理している・・・」
静かな時が流れた。
蘭太郎は空を見上げた。
気がつけば、太陽は、西の空に茜色を残し消えていた。
「彼らは勇者だった。馬鹿馬鹿しい戦争の、哀れな被害者だと思っていた、自分が恥ずかしい」
夕暮れの空に、星がひとつ輝いた。

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