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「葵、私決めたよ。歴史研究会を立ち上げる。小さな一歩だけど。始めようと思う。未来の子供たちのために」
葵は大きく頷いた。
「一番手強いのは、戦争を知らない世代。そしてネットの世界を知らない世代。。つまり、50代、60代のおじさんおばさんたちだけどね。テレビの言うことを、金科玉条のように信奉している世代」
それから、葵は堰を切ったように話し始めた。
「麻生さんのいわゆるナチス発言をテレビのニュースで見たときには唖然とした。麻生さんの意図とは真逆の内容にして、いや、麻生さんの話した内容とは真逆の意図にして報道していた。あれが現国のテストだったら、上杉先生から0点以下、マイナスの点数をくらうのは確実だ。自分たちが馬鹿だから、視聴者はもっと馬鹿だと思っているのか。それ以来、ネットとテレビのニュース両方を見てる。間違い探しっていうか、こんな見えすいた嘘を平気でつくのかっていうか。…それと、戦争を美化。偏狭なナショナリズム。日本の右翼化。これ、あの人たちの常套句だよね。あと差別、ナチス、これを加えてもいいかもしれない。これらの言葉を口にすれば、日本人なら誰でも黙ると思っている。伝家の宝刀だと思い込んでいる。実際、テレビで偏狭なナショナリズムって耳にしたときには、不謹慎だけど。感動した。うちのお父さん、テレビ大好きなんだ。ニュース番組好きだし。仕事終わって帰って少しお酒飲みながら、テレビ見て相槌打ったりしながら満足そうにしてる。言えないよ。それ、ほとんどヤラセと捏造だからって。その人たち、売国奴だからねって。父は嘆くと思う。どうして物事を素直に見られないんだ? 何でそんなひねくれた子に育ってしまったのかって。だから、父には言えない…。私、外国が、自分の国の国益のために日本にしかけてくるのは、嫌だけど仕方のないことだと思う。許せないのは、日本の中の反日勢力。左翼って諸悪の根源なのかな。良くわからないけど。悪の根源を辿っていくと、ルソーに辿り着くって誰かが言ってた。人間は平等であるって考え方に行き当たるらしい。ルソー自身とんでもない輩だったらしいけど。どの口でそんなこと言ってるんだって感じだよね。人間は平等じゃないんだよ。私のお母さんみたいに、私を産んですぐ死んじゃう人もいるし。門馬君みたいに、アトピーで苦しむ人もいる。蘭太郎のお母さん、綺麗な顔を隠すために、わざと一番似合わない伊達メガネをかけてるって知ってた? みんな同じじゃないんだよ。それだから、大変だし、そうだから面白い。何でそんな簡単で肝心なことがわからないんだろう。それと、すごく悲しいことだけど。ラスボスはひょっとしたらアメリカなのかなってこのごろ思う…」
「葵がそんな話するの、初めて聞いた」
「大切なことをネットで学んでいるのに。自分の中で完結してた。テレビを見て腹が立って悲しくて、一人の時「王様の耳はロバの耳!」って叫んでる」
葵の様子が目に浮かび、桜子は思わずくすっと笑った。
二人で顔を見合せて笑いあったのち、桜子は真顔になった。
「私が歴史を研究しようって思い立ったのは、もちろん、Sさんの証言がきっかけだけど。それだけじゃないんだ」
そう、桜子が切り出した。「最近、母と祖母と熱海の美術館に行ったでしょ。国宝の展示品が目当てだったんだけど」
「野々村仁清の壺。すごく良かったんでしょ。おばあちゃんが、これが見納めかもって、ずっと眺めていたという…」
「…うん」
「それで?」
「秀吉の黄金の茶室知ってるでしょ? それが美術館の中に忠実に復元してあって、でも、何だかほの暗くて、黒っぽくて、ほんとに黄金? 美術館だから、照明を暗くしてあるのかなって。係りの人の丁寧な説明を聞いて、まさに目から鱗だった。私、一体、今まで何を見てきたんだろうって。ある意味、衝撃だった。あれが、黄金の茶室の本当の姿だったんだ。秀吉だから金ぴかの成金。詫び寂の茶道にまでそんなもの持ち込むなんて悪趣味ここに極まれりって思って。頭から決めつけてた。目の前にあるのに、何にも見ていなかった…。一生懸命勉強しているつもりで、実は私何にも学んでいなかった。門馬君から借りた江戸時代の町の様子を書いてある話、想像とは、まるで違った。誇らしくて素敵で、心が躍った。もっと日本を知りたい。強く、そう思った」
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