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満州 阿片について



船戸与一を読む

「満州国演義を読む」から改題





満洲国の経営はどれほど阿片に頼ったのか?


2016年06月03日

日本史 満州国演義 満州 船戸与一

 満洲国演義では、特に前半に阿片からの収入で国家財政と戦費を賄った話がよく出てくる。船戸与一氏は文献をよく調べて書いているのでもちろん事実なのだろうが、公的文書などで事実を確かめられるものはないだろうか、とネットで調べてみた。
 今回は満洲国財政がどれほど阿片に頼ったのかを確かめてみたい。

 よくまとまった資料としてヒットしたのが北海道大学の経済学研究論文、「「満州国」特別会計予算の一考察」である。一般会計のデータがないので全体像が掴めないものの、特別会計の中に専売事業もしくは阿片専売事業を見つけることができる。
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/32125/1/48(3)_P80-99.pdf

 阿片専売事業の推移を見てみると、1932年に専売事業1本で表示されていたものが、阿片専売や投資、煤油類専売などに分けて表示されたり統合されたりしている。阿片専売がそれ単独で表示されているのは1935年と1936年の2年のみであり、それ以外の年は専売事業の一構成要素とされている。阿片専売事業の1935年の収入額は1461万円、1936年の収入額は3,769万円となっている。
ただし、1935年は元号変更の影響により7月から12月まで半年分の予算が組まれているので、収入は半分になっている。したがって、1936年のデータだけが唯一1年分の阿片専売事業の収入を示している。

 次に1936年の予算の全体像を見てみよう。これは「近代デジタルライブラリー」サイトの「満洲国大系」から確認することができた。この予算書に載っている阿片専売収入は上の研究論文の数字と一致している。原本はこちらを参照されたい。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1281823

 一般会計の予算書によれば、1936年における一般会計の収入総額(予算)は2億19百万円である。このうち専売利益全体の繰入合計は13百万円であり、阿片専売のみの繰入金は示されていない。
 次に阿片専売事業の収支を見てみよう。
 阿片専売事業は3,769万円の収入に対し支出は3,213万円(利益556万円)となっている。この支出が一般会計への繰入分を含んでいるのかどうかは特別会計の繰越金が表示されていないため残念ながら特定できない。ここでは含まれているものと仮定する。
 阿片専売事業から一般会計への繰入額の過去実績をみると、前年度の繰入2百万円(半年分)、前前年度の繰入4百万円(1年分)である。1936年も同様だとすると阿片専売のみの利益は多くとも10百万円以下(4百万円+556万円)であったと推察される。

 この事実から、1936年の阿片専売に対する財政依存度は最大限に多く見積もっても5%程度(=10百万円÷2億19百万円)であり、阿片専売に頼って国家運営をしていた、とまでは言えないであろう。

 それでは満洲国の財源はどこにあったのだろうか?
 1936年の税金収入予算は1億70百万円であり、総予算の実に78%は税金で賄われている。また、国債はたったの10百万円に過ぎない。

 以上をまとめると、満州国の財政の阿片専売利益依存度は思ったほど高くはなく、主に税金収入を財源としていたのである。


posted by さすらい人 at 10:00|Comment(0)|まとめ


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